パイが浮く原理について

お知らせ

皆様、こんにちは。

パイを食するため、必須なのが「焼く」こと。

魅力を引き出し、美味しさを左右する最大の要素といっても過言ではありません。オーブンで焼かれている間、焼き色の変化こそありますが、見えない部分で様々な変化が起こっているパイ生地。

今回は、その「焼く」という工程についてご紹介します。

生地が浮く原理

30℃ 生地と油脂が交互に薄く重なっているパイ生地の、油脂層が溶け始める。

 

40℃ 溶けた油脂は、生地へ適度に吸収され層と層の間に空間を作る。

 

70℃ グルテンの熱凝固や、でんぷんの糊化といった現象が引き起こり、その膨らんだ網目構造が固定される。

 

90℃ 生地中の水分が水蒸気となり、各層の間に行きわたる。

 

100℃ 水蒸気の圧力で層が持ち上げられパイが浮く。更に加熱を続ける事によりメイラード反応が生じおいしい焼色に焼き上がる。

※メイラード反応とは・・・   糖とアミノ化合物を加熱したとき、褐色物質(メラノイジン)を生み出す反応。

パイの一般的な焼成方法

  • スタート~15分

冷凍生地の場合、冷蔵庫で解凍してからオーブンに入れ、200℃で下火を強くして焼成する。この間でパイの浮きが決定するため重要な時間。

  • 15~20分

底面が焦げるため下火を落とし、上火で焼き色をつける。

  • 20分~ラスト

下火、上火とも落とし乾燥焼きにて、余分な水分を飛ばす。

 

※この条件は一般的な固定オーブンの場合な為、コンべクションオーブンやラックオーブンなどでは条件が異なります。

 

★パイを浮かすための温度

パイを浮かすには、多量の水蒸気が不可欠なため 200℃ほどの高温で焼成する必要があります。逆に焼成温度が低すぎると、水蒸気の圧力が弱くなり、層と層がくっつきやすくなるため浮きが悪くなります。

 

★ドライパイの焼成

グラニュー糖をふったドライパイ等は表面が焦げないように170℃前後の低い温度で焼成してください。

 

★水分の多いフィリングの場合

アップルパイ等のフィリングに水分が多い場合は、十分に乾燥焼きを行わないと焼成後に水分移行がおこり、パイの食感が失われます。

作りたいものによって焼き方が変わるパイ。本当に奥深く、作り手の愛情があらわれる逸品ですね。